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絵を描くときは積極的に「トレス」していくべき

 


こんにちは。しがないスマホ絵描きです。


さて、物議を醸す記事タイトルな気がしますが
文字通り「絵を上手く描くにはトレスをしていくのが良い」と言う記事になります。


とは言え、誤解を招く前にさっさと本題に入ろうと思います。

(本記事はデジタルで絵を描くことを想定した内容になっております)

 

 

はじめに

 

トレスとは


トレス(トレース)とはお手本をなぞることを言います。

アナログであればお手本の上に紙(トレーシングペーパーなど)を敷いてお手本をなぞること
デジタルであればお手本の上にレイヤーを作成してお手本をなぞること

になります。


トレスは英語の「trace:たどる、敷き写す」に由来します。

 


【模写】との違い

模写はお手本を直接なぞらずに、隣に置いて見ながら描く行為のことを言います。

漢字の練習帳なんかをイメージしてみてください。

 

“トレパク”はダメ


先に言っておくとトレスという行為はしても構いません

いけないのはトレパクと言われるものです。これは完全に著作権侵害にあたります。


トレストレパク、両者の何が違うのかと言うとトレス素材公開の有無です。


【トレパク】とは

他者の作品をトレースしてネット上などで公開すること。
トレスであることが明記されているものであっても基本的には禁止行為です。

トレスしたものを自作だと言い張ることはもってのほかです。

さらに、利益目的でないトレスの公開(SNS上での投稿など)であっても同じく良くない行為です。


反対に「完全に私的利用」なら他者のものをトレスしても著作権侵害にはなりません。

たとえば「練習のために漫画の絵をなぞる」のは
・どこにも公開していない
・利益を得ていない
・自作だと言っていない
のでOKということです。


また、各所で配布されているトレス素材を利用したトレスは著作権侵害になりません。
ただし配布元のライセンス・利用規約などを確認した上で使用してくださいね。

 

 

 

トレスの素材はどうやって入手するの?

自分で写真を撮る


一番手っ取り早い方法がこれです。要するに自前のトレス素材ですね。
自分のスマホでパシャリ。非常に簡単。


自前のトレス素材のいいところは入手が容易自由度が高いところです。

たとえば「あやとりをする手の素材」ってなかなかコアだと思うんですが、
自分で写真を撮れば自由な角度で適切な素材が入手できるわけです。


ちなみに、インカメにしたスマホを机に置いてタイマー設定にすれば両手の写真も簡単に撮れますよ。

 

 

 



反対に、自前トレス素材の欠点として写真に撮れるものしか素材にできないことが挙げられます。

たとえば「ラクダの素材が欲しいな」と思ってもすぐには写真に撮れませんよね。身近にラクダがいる人はいいですけど。



また、自前のトレス素材は自由度が高い反面見栄えの良し悪しを選べないのも難点です。

手の写真を撮るとき大抵は自身の手になるでしょうが、「もうちょっと指の長い手がいいなあ」と思ってもどうにもならないわけです。

椿の素材が欲しくて庭の椿の写真を撮りに行っても理想的に美しく咲いているとは限りません。

こういった欠点を補いたいときは
撮った素材をトレスする時に自身で修正する
次項目で紹介するトレス素材を使うといいでしょう。

まとめると、


自前トレス素材の
メリット
・素材の自由度が高い
・無料
・すぐ手に入る
デメリット
・身近なもの(写真に撮れるもの)しか素材にできない
・見栄えを選べない



言うまでもありませんが
他者の顔写真をトレスするのは肖像権の侵害にあたりますので、自分で撮った写真でも公開を前提とするならやめておきましょう。もちろん有名人の写真であってもダメですよ。


 

配布されているトレス素材を使う


世の中には便利なことに「トレス専用素材」というものが出回っております。
有料のものから無料のものまで様々です。

手軽に手を出せるものをいくつかご紹介。

 

pixiv、Twitter

いきなりSNSの名前を挙げちゃいましたが、
pixiv、Twitterともにトレス素材の宝庫です

#フリー素材」「#トレス素材」などと検索してみましょう。

投稿者の注意書きに則った上でご自由にお使いください。

加えて「#背景」「#髪」などを検索に加えるとよりピンポイントに検索できると思います。

 

 

 

【アイビスペイント】トレス素材

 

アイビスペイントの機能の一つに「トレス素材」があります。
素材は主に人のポーズがメインです。

一部プレミアム(有料会員)限定のものもありますが、無料で使えるものも多くあるのでスマホ・タブレットユーザーは是非ご確認を。


なんとミニキャラの素材もあります。つくづく便利なアプリです。

 

 

 

【アプリ】Handy Art Reference Tool(¥250〜)

 


有料ですが、トレス素材アプリの中で最もコスパが良く評価が高いと思います。

手、頭、足(要課金)が主な素材ですが
・角度も自由
・手に物を持たせることも可
・光源も自由に設定可
と便利が詰まったアプリです。

 

APP Storeはこちら
https://apps.apple.com/jp/app/handy-art-reference-tool/id478643661

Google Playはこちら
https://play.google.com/store/apps/details?id=com.beliefengine.handyapp&hl=ja&gl=US

(PCには対応していません)

 

 

 

 

 

なぜトレスが良いのか?

 


さて、ようやっと本記事の本題です。

トレスにはいいことがたくさんあります。
トレスのメリットを紹介していきますよ。

 

絵の上達に繋がる

トレスはお手本をダイレクトに絵にできます。

するといざ描いてみたら「思ったより〇〇」「今まで気づかなかったけど○○だったのか」という事象が多々起きます。

たとえば。

・人間の首は思ったより短い
・服のシワって思ったより少ない

・こんなところに凹凸があったのか
・ここに影があるのか

なんていう「気づき」が多々あるのです



人によって発見は様々ですが、
自分の手で実際になぞるのは対象への観察と表現を同時にできるという、なんとも刺激の多い行為です。


すると描きたいものの解像度が上がります。理解度といっても良いでしょう。


「ここの関節が出っ張っているからここに影があるんだな」
「この服はこういう皺ができるからこういう線を描けばいいんだな」
という具合に理屈が頭に入るわけですね





解像度が上がるとトレスせずに描いた絵でもよりリアリティが増します
これを繰り返していくと、やがてお手本がなくとも綺麗な絵が描けるようになります。


絵の上達において、特に等身絵や自然物を描く場合においては、描きたいものに対する解像度はかなりの影響を及ぼします。
新たなスキルアップを目指している人は是非トレスも視野に入れてみましょう。



目標にしている絵柄がある人は、練習としてその絵をトレスしてみるのもいいかもしれません。

好きなゲームのスチル絵をトレスするとか。顔のパーツがどのように配置されているか、体のバランスはどんな感じか、などなど学べることがたくさんあります。
※公開はダメですよ。あくまで「練習」という私用に留めておきましょう。

 

【お手本を見ながら描く(模写)はダメなの?】


お手本を見ながら描くのも効果的ですが
「お手本を見て描いているのに実物と全然違う絵になった」なんて経験はありませんか?

たとえば自分の似顔絵を描いてみて、本当にそっくりに描けますでしょうか。

極端なケースだと、絵が苦手な芸人さんがすごい絵を描いちゃったりするのを見たことがある方も多いと思います。


この現象が起こる理由のひとつとして、見ながら描くというのは少なからず自分の先入観既に身についている手癖が邪魔をするものです。
同じお手本を見て描いても人によって完成形は異なりますよね。

その先入観や手癖が上達の邪魔をしている場合が多々あります。

それらを修正する意味ではトレスの方が効果的だと言えるでしょう。




 

自然な絵が描ける

当然のことながら、

ペンを握った手を見ながら描いた絵と
ペンを握った手の写真をなぞった絵は

その自然さが段違いです。
脱力感とか、指の角度とか、生身の人間ならではのものがあるんですよね。


人間の手にしろ姿勢にしろ、服のシワにしろシルエットにしろ、動物の体格にしろ水飛沫の飛び様にしろ何にしろ…

本物」をそのまま絵にしてしまうのが一番手っ取り早く一番綺麗に描けます。


トレスしてみてしっくりこなかったら部分部分を修正すれば良いのです。


 筆者もよく自分の手の写真をトレスして漫画などを描いています。

指を細長くしたり第一関節を長めにとってはいますが、自然な形の綺麗な手が描けるのでおすすめです。

 

 

 

時短になる・簡単に描ける


言わずもがな、なぞれば作業が済みますから
丁寧な下書きなどは必要ありません。

また、複雑なものであっても画力に左右されずに描けます

 

トレスするものは複雑なものに限らず、たとえば
・ストローの刺さったドリンク
・ゲームのリモコン
・メガネ
などなど。
近くにあるものをパシャッと撮ってトレスすれば一発解決です。


トレスは物体の角度も自分で自由に決められますからね。自分の欲しい素材がピンポイントで入手できます。

……まあ線画抽出でもいいんですけどね!
線画が綺麗に出ない場合もありますから時と場合で使い分けていきましょう。

 

 

 

 

トレスって悪いことではないの?

 

たまにトレスという行為を漠然と「いけない行為」と捉えている人を見ます。

その理由はなんでしょうか?

トレスは手抜きなのでは?



たとえば絵を描く際の目標が「綺麗な絵を仕上げたい」だったとして。
トレスをした方が綺麗な絵になるのならば、それはトレスするべきです。手抜きにはなりません。

その場合のトレスは「工程」「手段」の一環です。
手作業で色塗りをする代わりにバケツツールを使ったり、影を塗る時にはみでないようにクリッピングしたりするのと一緒です。

なにせほとんどの作品は完成した結果を見せるモノですからね。どのような作業工程を経ていようとも最重要事項は完成形が綺麗になることです。


手作業に拘っているなら話は別ですがね。

 

 

 

トレスはルール的に良くないのでは?


「練習するにしてもトレスってなんだか罪悪感があるな」って人もいるかもしれません。

しかし、やっていることは習字や漢字ドリルの「お手本の薄い字をなぞる」こととなんら変わりません。
皆さんも小学校でやったことがあるのではないでしょうか?

絵か字かの違いです。

とは言え、他者様の絵を拝借するのは私的利用なら法的に問題がないことは理解しつつも、あまり良い気がしないのも納得できます。モラルや良心に引っ掛かりを覚えてしまう人もいるでしょう。

もし誰かの作品をトレスすることに抵抗があるなら自前の素材を使っていくといいかもしれません。

また、トレス素材が自前のもの、もしくはトレス素材として配布されているものであれば「自分の作品」として公開しても問題ありません。(ただし配布元の規定はよく守りましょう)


ただ、上記でも述べたようにトレパクだけは絶対に良くないです
トレス素材には十分気をつけましょうね。

 

 

まとめ


トレスは絵の上達にも完成度にも大きく貢献してくれます。

「ちょっとここが上手く描けないなあ」「最近スキルアップが停滞気味だなあ」という人は是非トレスを取り入れてみてください。

今まで自力で描いていたものを思い切ってトレスしてみると自分の手癖や新しい発見に気づけるかもしれません。


最後までお読みいただきありがとうございました!

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